漢方薬の種類:上薬、中薬、下薬

東洋医学のひとつであり、なじみの深い薬の漢方薬には「上薬、中薬、下薬」の三種類があります。では、これらの種類を分けるものはいったい何なのでしょうか。

 

漢方薬は、天然の植物や鉱物である「生薬」を複数種類混ぜて使います。混ぜる種類や分量はあらかじめ決まっており、服用の方法、時期に制限がある点で厳しい制限がない「民間薬」と区別することができます。

 

中国最古の薬学書とされているのが、「神農本草経」と呼ばれる書物です。

 

こちらは古代中国の神であり、4000から5000年前に様々な薬草を自分の体で試し、効果を調べた「神農」の名前にあやかった書名であるといわれています。成立年代、作者ともに不明ですが、1世紀から2世紀頃に成立したとされています。

 

この書籍では、1年の日数と同じ365種類の植物・鉱物および動物の薬効が記されています。この365種類の薬は、人体への効き目をもとに「上薬、中薬、下薬」の3種類に分類されています。また、それぞれ上品、中品、下品と呼ばれることもあります。

 

神農本草経には、上薬120種、中薬120種、下薬125種が収録されています。

 

上薬

 

上薬は生命を養う薬であり、体を軽くして元気にする、不老長寿の作用を持つ薬とされています。また、人体には無毒なので、長期間服用してもよいとされています。

 

上薬の項ではカンゾウ、ハトムギ、ゴマ、クコなど、一般的な漢方薬の原材料名で見かかることも多い薬草を見つけることが多いです。

 

中薬

 

一方、中薬は体力を養い滋養強壮の目的で使用され、病気を予防し体を丈夫にする薬、と定義されています。

 

ただし上薬と異なり、使い方によっては体にとって毒となることもあるので、使用には注意が必要です。

 

主なものとしてホオズキ、ウメ、アケビ、マオウ、シャクヤクなどがあります。それぞれの薬草には多様な効果があり、解熱鎮痛作用を持つものから咳止めに用いられるものまであります。

 

下薬

 

下薬は健康回復に使われる薬であり、病気を治すために用いられます。効き目は抜群ですが毒が多いため、短期間の使用に限定されます。

 

こちらには、有毒植物として名高いトリカブトやヒヨスのほか、観賞用として人気のあるシラン、ケイトウなどの植物が含まれています。

 

現在の日本では人体への副作用や健康被害リスクをもとに薬を3種類(第T類、第U類、第V類)に分けていますが、2000年ほど前の中国では、すでにその発想があったのです。

 

このことは、漢方薬において生薬の特性がいかに重要視されていたかを物語っています。

 

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