身体を冷やす〜寒涼性の生薬〜

漢方薬に用いられる生薬には、体を冷やす「寒涼性」のものがあります。近年はエアコンの普及もあってか、日本人女性の5割から7割が冷えを自覚し、「冷えは女性の大敵」ともいわれていますが、漢方における「寒涼性」の生薬はどういった目的で使われるのでしょうか。

 

漢方や薬膳においては、「食べることで体を温める、または冷やす」性質を持つ食べ物があり、この考え方を「五性」と呼びます。

 

「寒性」、「涼性」、「温性」、「熱性」、「平性」の五つのうち、体を冷やす働きをもつものは「寒性」と「涼性」のものです。このふたつは同様の働きを示すことから「寒涼性」とも呼ばれます。

 

一般的に、「寒涼性」を持つとされる食べ物は夏が旬のもの、南の地域が原産であるものが多いとされています。

 

漢方における「寒涼性」とは、その生薬を服用することで体が涼しくなることを言います。

 

より具体的には、夏っぽい症状を抑えることであり、薬効として解熱、鎮痛、消炎が知られています。

 

熱中症、発熱、興奮を抑えたい、局所的な炎症や充血を解消したいという場合に用いられます。

 

「寒涼性の食べ物は体を冷やすため、極力摂取しない方が良い」とまことしやかに語られるためか、この性質を持つ食べ物が悪者として取り上げられることがしばしばあります。

 

しかし、きちんと薬効を知り、使い方を工夫すれ寒涼性の生薬は人体にとても効果的に働きます。あまり知られていませんが、十薬(ドクダミ)、芦薈(アロエ)などの一般におなじみの生薬は寒涼性の働きを持っています。

 

体を冷やすことがすべて悪いわけではなく、その性質をうまく利用することが重要なのです。

 

また、性質どうしを組み合わせてより効果的にすることも漢方では重要です。

 

例えば、夏場によく起こる手足ののぼせ、夕方や夜のほてりは、体が熱を持ち、かつ臓器に元気を与える栄養(血)の作用が不足することが原因とされています。

 

こういった場合、寒涼性の生薬のみでは根本的な症状の解決にはなりません。そこで、栄養を与える滋潤性を持つ生薬と寒涼性の生薬をブレンドした漢方を使用します。

 

漢方の五性や生薬の特性、分類については、文献の情報によりしばしば相違がみられます。また、生薬の種類によっては医師にしか処方できないものもあります。

 

そのため、本やインターネットで調べることもできますが、気になる方は医師または漢方を取り扱っている薬剤師の方に相談してみると良いでしょう。

 

防風通聖散


page top