身体を温める〜温熱性の生薬〜

漢方や薬膳においては、食べ物を性質により「寒性」、「涼性」、「温性」、「熱性」、「平性」の五つに分けることができます。

 

このうち、「温性」と「熱性」の二つは食べることで体を温める働きを持ち、冬が旬の食べ物、寒い地方を原産とする食べ物が多いという特徴があります。この二つはよく似た働きを持つことから、しばしば「温熱性」とまとめて表現されます。

 

漢方においては、温熱性の生薬は体を温めるほか、内臓の働きを活発にし、代謝をあげる作用を持つとされています。このことから、体の冷えを取り除く目的で温熱性の生薬は利用されます。

 

ただし、注意したいことは温熱性の働きには強弱が存在するということです。つまり、少量で劇的に働くものと穏やかに働くものがあるということで、症状の状況、体質に応じて適切なものを選ぶ必要があります。

 

例えば、劇的な効能を持つ温熱性の生薬の一つに「附子」があります。

 

こちらは、有毒植物として名高い「トリカブト」の仲間の根を特殊な弱毒処理を行ったものを指します。

 

新陳代謝を活発にする働きを持ち、利尿や内臓機能を回復させる働きをします。附子は生薬の下薬(または下品)に分類され、効果が強烈ですが短期間の使用に限られるなど、服用に制限があることでも知られています。

 

附子は、「八味地黄丸」、「真武湯」や「麻黄附子細辛湯」などの漢方薬に配合されています。

 

一方、同じ温熱性かつ内臓の働きを支えてくれるものに、黄耆があります。こちらはマメ科のキバナオウギの呼び名で、上薬(上品)に分類されています。

 

体に対して毒とならず、作用も穏やかであることから、附子とは異なり長期間の服用も可能です。また、生命エネルギーである「気」を補うことができます。黄耆は「補中益気湯」や「玉屏風散」などの漢方薬に配合されています。

 

当帰はセリ科トウキの根であり、附子や黄耆と同様温熱性を持つ生薬で、中薬に分類されています。

 

こちらは人体に栄養を行き渡らせる「血」を補う作用を持ち、婦人科系の症状の改善に使用される事例が多いことが特徴です。「四物湯」や「当帰養血膏」などの漢方薬に配合されています。

 

このように、一口に温熱性といっても三品分類(上・中・下薬)や効き目の強さ、効能は生薬の種類によって変わります。また、一部の漢方薬には病気の症状、体質により副作用が心配されるものもあります。

 

そのため、温熱性の生薬で自分の体調を改善したいという場合、医師や薬剤師の方に相談し、適切な漢方薬を選ぶようにしましょう。

 

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