『気・血・水』について

『臓腑理論』が現代で言うところの解剖学とするなら、『気血水論』は生理学にあたるものと思われます。

 

人体を内臓中心に考えると『臓腑』がメインになるのに対して、もっと横断的に『どんな成分が働いたり動いたりして、カラダが活動しているのか』を解説しているからです。

 

そして、この理論の応用が東洋医学的な診断・治療・予防に活かされているのです。

 

T.気・血・水(き・けつ・すい)って?

 

おおまかな解剖図くらいは古代中国でも作ることができていました。

 

次に必要な学問は、内臓や組織のなかで活動したり、組織どうしを橋渡しするような物質・成分の理論ということになります。

 

現代医学では血中の成分、神経の電気活動といった肉眼では確認できないカラダの働きも画像化したり数値化することによって目に見える形で観察しています。

 

一切の機器を使わず『見えないがどうやら働いているなにかがある』という視点から、カラダの働きを推理し、実用に応用した理論が気・血・水の理論です。

 

気:呼吸、発散、体温、栄養etc

 

人体は両親から受け継いだ先天的な『種火』ともいえる「先天の気」。そして、飲食物と呼吸からつくられる「後天の気」が連動してはたらいているとされています。

 

肺の連想から、呼吸とのかかわりが深いようにも思われる『気』ですが、より全身的な発散や伝達、栄養などを説明する用語にもなっています。

 

例えば、汗をかいて体温を下げる。逆に皮膚の守りを「絞って」体温をセーブする。

 

こうした窓の開け閉めのような、皮膚付近での発散のコントロールも気を通して説明されています。

 

学問的にはかなり膨大な情報なのですが、ひとまず初歩的には『衛気』と『営気』に大別してみていけば良いかと思われます。

 

衛気は体表などのカラダの比較的浅い場所をめぐっています。これにより、体表の守りなどが働くとされます。

 

営気は脈内を巡り主にカラダの各所の栄養にはたらくとされます。

 

血:血液に近いが・・・

 

全身をめぐり、栄養を配分する働きは現在の「血液」と近いのですが、液体としての血に加えて、栄養分全体を指して説明されます。そこで、前述の『営気』が関係してきます。

 

血液の液体的な性質を『血の中の水』として扱い、血液中の血球のような働きやを含めたやや幅広い現象を指して『営気』としています。

 

大まかに分けると東洋医学での『血』は、@津液(人体の水分をやや専門的に呼ぶときの用語)とA営気に分けられると言って良いでしょう。

 

水:水と言えば水だが・・・

 

体液全般は液体ですから、すべて水(みず)と呼んでさしつかえないのですが、理論的には体液を『津』と『液』に大別して扱ったほうが便利です。

 

これは体液にも陰陽があることと、生理的な流れに乗らない/乗らない水分が各種の症状を起こすとみられているためです。

 

よって、水(すい)として総称されるものには陽的な液体(津)。陰的な液体(液)。正常な動きをしない液体(病的な意味での『水』)。の三つが該当します。

 

これら3つの成分は飲食物のエッセンスから生成されたのち、連動してはたらいているので、実際には『ここからは○○の不調で、ここからは△△の不調で・・・』といった見方はしづらいので、初見のかたには曖昧なものに見えるかもしれません。

 

しかし、それぞれの成分とかかわりの深い臓腑をあわせて見ていくことで、ある程度の全体像はつかみやすくなるのではないかと思います。

 

U.気―不調になるとどうなる。養生方法。

 

気は作られる段階で胃腸を統括する『脾』がしっかりしている必要があります。そして、気の循環を促すのが『肺』です。臓腑の扶(たす)けを受けながら気は生成・循環しています。通常通りに働いていれば、

 

  • 身体を温め、必要に応じて発散も行う
  • 血・水の循環を促すとともに、そのキープにも必要
  • 体表の保護に働き、寒さや風にあてられたときの守りとなる。
  • 消化・吸収の最終プロセスで、飲食物からエネルギーへの転換を助ける

 

といった機能が充分ですので不調は起こりにくいものです。

 

これらの働きが不調の場合は3つに大別します。

 

  • A足りない・行きわたらない部位がある『気虚』
  • Bうまく流れない・流れが悪い『気滞』
  • C昇った分だけ降りない『気逆』

 

Aの気虚は、そもそも気の生産量が少ないという点では脾のトラブルにまつわることが多いでしょう。したがって、過労や不摂生、胃腸の弱りなどから起こりやすいものです。

 

また、気が行きわたらないという状態は肺がもう少し活発になれば避けられる可能性は十分あります。

 

起こりやすい不調としては、汗が漏れるように出る(体表の守りがおろそか)。

 

冷え性。倦怠感。食欲不振。などがあげられます。

 

Bの気滞は単独で起こることは少なく、他の血・水の変調の影響をうけるか、急激な気候変化(とくに寒さや湿気)に伴って起こることが多いです。

 

例えば、『血は気の母。気は血の本』という格言がありますが、「気は血の巡りを助けると同時に、血の栄養作用の下支えがあって気は充分にめぐることができる」というほどの意味です。

 

循環が鈍い状態を連想していただくとよいかと思われます。うつ病ほど強くはありませんが不安、抑うつ、胸の詰まり感などが起こります。

 

咳にも特徴があり、のどの詰まり感(梅核気、咽中灼肉などと呼ばれる異物感)を解消しようとカラ咳を頻繁に出すこともあります。

 

Cの気逆で多いのは怒りとストレスですが、この二つだけではなくのぼせのような状態が長くなる要因であれば気逆の原因になりえます。

 

『カッとなる』『頭に血が上る』等と言いますが、単なる比喩ではなく東洋医学では一理ある現象です。また、怒りやストレスで血圧や心拍数に影響が出る場面を連想していただくとイメージしやすいのではないでしょうか。

 

また同時に、陽の気ですから昇るのは自然なことなのですが、昇ったものは今度は降りるのもまた自然な現象です。

 

しかし、降りるのを妨げるような要素(足元からの冷えを受けて、陽気が降りてこれないetc)があれば昇る流れ>降りる流れとなりますからおのずとのぼせに近い状態になりやすいものです。

 

気の不調に対する養生

 

気のコンディションと異常の度合いでいくつかの対策を使い分け・組み合わせる養生法が考えられます。いくつかの例を見てみましょう。

 

  • 運動で循環を良くする

 

気は呼吸と関係が深く、比較的カラダの浅い部分に多いものです。よって、軽症なら循環が良くなれば改善・予防は充分できます。特に気虚や気滞の軽いものには、軽く汗ばむ程度の運動で充分です。心拍数を目安にするならば130拍/分を超えない程度で良いでしょう。

 

また半強制的に深呼吸をしながら循環をよくする目的では、『笑う』『歌う』といった行動も同じ原理ですので、カラオケやDVD鑑賞なども有効でしょう。

 

  • 栄養と休息

 

中等度以上の気虚などには胃腸の不調や栄養不足が関係して起こることがあります。つまり『充分にめぐるだけの気がない』ときは、物の不足を補う=栄養&休息となります。

 

  • 食材やスパイスの『温める性質』『辛みの作用』を上手に利用する

 

気がカラダの循環を良くし、温める作用や発散作用をつかさどるので、カラダを温める食材や辛みのスパイスなどが有効なことがあります。ただし、刺激的な辛味は熱をこもらせたり、逆に汗をかきすぎて疲れるということがあるのでキムチ鍋やタイカレーといった本格的な辛さは日本人には強すぎる傾向があります。

 

効果が期待できて失敗が少ないのは、ショウガや葛のようなマイルドに温めつつ熱をこもらせたりするリスクの少ないものです。その点ではショウガ湯やくず湯などは理にかなっているといえるでしょう。

 

  • 排泄も充分に

 

とくに気滞のような場合、大小便による老廃物の排出量を増加・回復させなければならないことが多々あります。

 

また、気逆があるとのぼせに近い状態ですから、排尿時に背中を陽気が降りていくにしたがって改善しうる可能性もあるでしょう。

 

こうした場合、熱を冷ます・尿量を増やす・ナトリウムと拮抗して血圧を下げるといった性質を持つ『カリウムの豊富な野菜』が夏に多いのも面白いところです。

 

V.血―不調になるとどうなる。養生方法。

 

血(けつ)が正常に働かないと、栄養作用が不足すると同時に、発散が悪くなるなどの気のはたらきにも影響が出ます。また、出血の一部も血の異常としてみています。これらを大別すると

 

  • A血虚:血の不足
  • B?血:血流の低下や血の変質
  • C出血:ケガや外傷によらない出血

 

Aの血虚は血の不足ですから、基本は『作る量が少ないから足りない』か『貯蔵量が少ないから足りない』ことになります。また広い意味では、出血過剰なども含まれますが血の機能から考えるとこの二つがメインとみてよいでしょう。

 

血の生産の不調としては、胃腸とそれらを支配する脾の変調です。したがって、ふだん肉が豊かな部位などに血の気がなかったり(くちびる、舌、まぶたの裏などが白っぽい)、肉の多い手足のだるさなどがみられます。

 

また、血の貯蔵は東洋医学的には肝のはたらきなので、肝に関係が深く・血を多く消耗する目などに症状を発しやすくなります。

 

逆にいえば、血を消耗するようなことがあった後には目をつかうと、カラダへの負担がとても大きいことを暗示しています。これが『産後に目をつかってはいけません』という格言の根拠です。

 

厳密には目の症状ではありませんが、血の不足による不調としては『産後女性の早期復帰にまつわる不調』などは発生メカニズムは同じです。

 

血を貯蔵しコントロールする意味で『血室』とは肝(の臓)をさす別名なのですが、血室をもう一つもつ人たちが女性で、婦人科の血の動きを指すときには子宮も『血室』と呼ぶのです。

 

ですから、月経の異常や、子宮に充分な血がキープできない(不妊など)といった婦人科の症状がみられることも多いのが血の不調の特徴でしょうか。

 

Bの?血という用語は、場所を示す『於』に『やまいだれ』と表記されています。

 

したがって、『あるべきでないところに血がある/血行不良』とか『あるべきでないものが存在している/血の変質(ひろい意味では動脈硬化なども)』といったほどの意味でしょう。古い文献では『悪血』『惡血』といった漢字も見られますが大意は同じです。

 

これは、さまざまな原因から肝からカラダへの血の配分がうまくいかない時に起こりやすいものです。たとえば、飲酒過度・医薬品の誤用・ストレスなどで肝に熱を持つと、肝へ貯蔵されている血は変質してしまい、出荷できない不良在庫品のような存在になってしまうことがあります。

 

この状態を「熱を持った血が悪さをする」という意味で『血熱』などと呼ぶこともありますが、広い意味で?血に含めて考えていただいて差し支えないでしょう。

 

そうした『血熱』から冷めて固まったり、いつまでも貯蔵されてカラダへ出荷されなかった血のなかには『シチューやカレーを作って3日位から出始めるダマ』が出来ます。これが、おおざっぱな『?血』のイメージです。

 

本来サラサラした血ならば、栄養と循環は充分なのですが、?血の時には

 

肝をはじめとしてある部位では血が余っている(痔核、うっ血など)。

 

にもかかわらず動かせずに、血流が悪いので局所的には血が足りずに症状が出るところがみられる(冷え性、生理不順など)。

 

また同時に『ダマ』混じりの質の低下した血から栄養を得ようとするための異変がみられる(シミやそばかすができやすい、生理痛など)といった一目には矛盾した症状が出ます

 

Cの出血は、東洋医学的には『漏れ出た』といったほうがより正確かもしれません。通常は、脈管や粘膜面のカバーリングは、肉の組織を統括する脾の作用で守られているからです。こうした血が漏れ出るのを防ぐ脾の作用を『統血作用』と呼び、不調時を『不血統』と呼びます。

 

血の不調に対する養生方法

 

さて、こうした血の不調に対しては『足りなければ補う』『滞っている時は流れを促す』『漏れ出るときは、血の管理を脾に強化させる=胃腸を整える』といった大筋の方針があります。個別に養生方法の向き・不向きを見てみましょう。

 

A:血虚に対して

 

血の生産が足りていない場合は胃腸との関係が深いので、身の養いとなるように穀物を意識して摂ると良いでしょう。胃腸に有効な食物は自然な甘みを持つものとされています。これは五味(酸・苦・甘・辛・:しおからみ)にそれぞれ薬膳・漢方的な機能があるとされているためです。
ちなみに、血の貯蔵不足による不調は、血を貯蔵する肝の機能を上げたいので酸味のものがよいでしょう。梅干しを連想したときに、ぽっぺたのあたりが『キュッ』となることがあろうかと思います。あの引き締める力を血に働かせて貯蔵量を増やすイメージです。逆に辛味は発散がよくなりますので、一時的に元気がでるように感じられますが発散>貯蔵の悪循環になることもあるのでほどほどにしておいたほうが良いでしょう。

 

B:?血に対して

 

血のなかのいらないものを出す。正常な血を増やす。この二つの方針で養生方法を選ぶことができます。

 

血の中の不要なものを出すためには、血流を良くすることと便通を良くすることにあります。運動は無理のない範囲を意識して飽きの来ないメニューを設定することがコツです。晴れの日と雨の日で使い分けるなども良いですね。

 

便通を改善すべき理由としては、漢方の観点から『どうやって毒素を出そうか?』という発想にベースがあります。これを『吐・下・汗・和』という用語で説明しているのです。

 

例えば、食あたりの新しいものであれば『吐く』というのは有効ですし、カゼのひきはじめは暖かくしてしっかり汗が出て一晩もすればキレイに抜けるものです。そして、血の中の毒素を排出するには、血の中のいらないものをしっかりと便通に乗せて毎日のお通じを欠かさないことです。

 

正常な血を増やすには、質の良い食事が望ましいですが、便通対策を兼ねるという点で野菜が欲しいところです。栄養素のロスがない生野菜の魅力はありますが、手間との兼ね合いでは外出先では市販の野菜ジュースや青汁などで代用するというのも次善の策と言えます。

 

近年は、コンビニや外食でも「食べる系のスープ」が充実しているところが増えているのも嬉しいものです。また、サラダや青汁がつらい冬には、温野菜・レンジ蒸し・タジン鍋などを活用されるのも良いでしょう。

 

また、水を飲むこと自体にも緩下作用があり、こまめに少量ずつ飲むだけで便秘薬要らずになる方もいらっしゃいます。

 

また、カフェインの利尿作用が効きすぎると大便と小便で水分の取り合いとなり、脱水に近い状態が起こりますので、緑茶やコーヒーは水分摂取にカウントせずに「嗜好品」としてとらえたほうが良いかもしれません。

 

一日2〜3杯食後やティータイムに飲む程度は問題ないでしょう。香りや風味を楽しみながら休息する良い機会です。

 

C:出血に対して

 

消化器を統括する脾の不調で出血しやすくなると述べましたが、自然な甘みをもつ食べ物が向くという点では血虚のときの養生に近いでしょう。

 

穀物は基本的に甘味の作用が多いので『物の不足を補う』という目的で摂ることができます。

 

またでんぷん質が豊富な食品も穀物に準じた作用が多い上に、地下から摂れるものは温める作用に傾きやすいので利用しやすいでしょう。

 

また、血への食養生ということでレバー自体は優れた食品ですが、頻繁に食するにはコレステロールなどの過剰があり得ますので、良質な赤身の肉を少量摂る(焼き鳥ならレバーを1串頼んだら、次はハツなど・・・)といった形で置き換えても良いでしょう。

 

また、ローカロリーで微量元素・ミネラルを摂れるという点で和食ならではの『出汁』は優れています。昆布やいりこを粉末で使っても良いですし、出汁を引いたあとのいりこなどは和え物や酢の物にもよく合います。

 

出血傾向があれば、激しい運動は向きません。しかし、適度な刺激が欲しいという観点では、肉が豊かな手足を軽く動かすことが必要なこともあります。とはいえ、疲れない程度に、という原則つきですが。

 

特に、むこうずねの辺りは胃のツボが集中しており、歩くことで胃腸を活発にすることもできるわけです。

 

W.津液―不調になるとどうなる。養生方法。

 

体液を広く陰(内的・静的・低温)と陽(外的・動的・高温)に分けたものが津と液であります。これは同時に『身体活動の流れに乗った水分』を津液と呼ぶということも暗示しています。

 

したがって、水分が身体活動に「乗れず」に、カラダのどこかでとどまったり、悪さをしたり、そもそも足りなかったり、摂取(飲んで)しても身につかなかったり・・・という状態を津液の不調として扱っているのです。

 

これらを分類すると

 

  • A.津液不足:嘔吐や下痢による消耗。水分を吸収するチカラの低下による津液不足
  • B.湿:関節付近や腸の表面付近の水分過多。
  • C.水滞:胃腸などに水が多い状態。

 

の三つが考えられます。もっとも、治療の観点などで分類にやや変化があることもありますが、大筋ではこの3つで良いでしょう。特に湿と水滞は、場所で3つに分けたほうが治療や養生に便利なのですが、いずれも津液の部分的な過剰ですので個別に見ていくことで違いが分かりやすいかと思われます。

 

A.津液不足、はまず津液を消耗したときにおこりやすいものです。例えば「嘔吐」というかたちで「胃液」という津液を失うと回復には時間がかかります。カラダの水分を動員する必要がありますし、消化タンパクや胃酸のもと(塩素イオン)などを動員して胃酸を作り直す必要があります。

 

このあたりが、体液を単なる「水分」で片づけずに、『陰的作用と陽的作用をもつ機能的な液体』(=津液)と理論づけている理由です。

 

と同時に、カラダに水分を取り込む能力という点では『脾』を主とした胃腸の不調がもとになっていることもありますし、津液をキープするおおもとの働きとしては下腹部を主として統括する『腎』の不調とみることもできます。

 

こうしたことから、粘膜面のかわき(目や口、唇、のど)の症状や尿量減少、便秘、髪や皮膚のかわきの症状を発します。

 

Bの湿とCの水滞はひとことで表現すると『むくみ』です。したがってさまざまなむくみ症状が出てきます。一般的にイメージされるむくみに加えて、より広い範囲の水分過多を取り扱っているので、手足の倦怠感や俗に水腹と呼ばれるポチャポチャした状態はもちろん、めまいや残尿感や下痢などの内科的症状もあらわれます。

 

部位による分類では「湿病」「痰飲病」「水気病」の3つに分けられます。

 

湿病は、皮下組織や関節に水が多くなった結果、炎症や痛みを発するものです。これはもともと水の多い人が、冷えなどに遭った時に起こります。現代では関節炎やリウマチの症状を指します。

 

痰飲病は用語から連想されるとおり、胃腸をメインに水が多くなった状態です。咳、めまい、動悸に似たドキドキ感などのもとになります。

 

水気病は、循環がよくない時に皮膚周辺に水が多くなるものです。したがって、浮腫や関節痛などを起こします。

 

津液の不調に対する養生方法

 

Aの津液不足に対しては、液体成分の不足によって熱症状があらわれることがありますので、熱症状には苦みの食物の作用で冷ましたり、酸味の食物の作用で引き締めることで改善が期待できます。

 

カラダの水分代謝のベースは腎ですので腎へのアプローチでも効果的でしょう。『カラダの悪い部分・弱い部分と同じものを食べなさい』というのは薬膳的な食材選びの原則の一つなのですが、そうそうモツ煮やホルモン焼きばかりも食べてはいられません。

 

次善の策というわけではないですが『カラダの悪い部位とカタチが似ている物に有効なものが多い』という原則で当てはまるのが『豆』です。カラダの水分吸収・保持を促進して腎臓の働きを高める目的で食されます。

 

黒糖やハチミツなど、自然の甘味料でほんのり味付けをしたぜんざいなどは白砂糖の過剰の害を避けつつ、腎臓や循環器のトラブルを予防・改善に定期的に食べても良いものです。また、毎朝の食卓に納豆を追加したり、晩酌のお供に枝豆や冷ややっこ・湯豆腐を添えるなど日ごろの食生活に取り入れやすい利点があります。

 

BとCの湿と水滞は、循環の悪くなったところで増えてしまった水を体外に排出できれば改善が期待できます。結論から言えば、汗として出すか大小便として出すかです。

 

比較的浅い部位でのむくみは汗として出せますし、温かい季節に汗をかいて皮膚を引き締めておいて、寒さに強い皮膚を冬に備えておくとリュウマチや関節痛の予防にもなります。東洋医学的に『スポーツの秋』をみていくと、今のような理屈に基づいています。

 

もちろん、秋までにカラダづくりができていても、寒さを避けておいたほうが無難でしょう。見落としがちなのは、足元からの冷えです。特に建材が石灰質・コンクリート類の場合その冷えが顕著となります。事実、地中海方式の石造り・洞窟ベースの住まいと関節炎の関係がしばしば取りざたされるものですし、「冷え」「水濡れ」「立ち仕事」の三拍子がそろった鮮魚店のおかみさんなどに足の静脈瘤が多発しているのは広く知られているところです。

 

やや深いところから胃腸のむくみは、大小便の改善が有効ですが、それには『脚への刺激』が効果的なことが多いでしょう。大便には脚を適度につかいながら、筋肉を柔らかく保つのが良いでしょう。小便には足裏へ適度な刺激が有効です。

 

ですから、歩くことでこの二つの効果を兼ねることができますし、雨天などでウォーキングや外出ができないようなときには、ごく軽めのスクワット(筋トレのような深いものである必要はありませんし、ハーフスクワットがしんどい間は壁に手をついてでも十分でしょう)や足裏の指圧などで代用できます

 

このように水の停滞を改善すると同時に、再び停滞するのを防ぐためには「薄味」が有効なことが多いです。塩味や辛味が過ぎると、水を呼ぶようにして体内で滞りやすいのです。盛り塩をご覧になったことのある方にはお分かりかもしれませんが、水を集めて留めるチカラはかなりなものです。

 

また、辛味は発散作用がありながらも、過ぎると強力に熱をこもらせます。その熱と水分が一緒になるとなかなか動きにくいものです。

 

したがってこうした場合、中国では「淡味がよろしい」としているのです。

 

まとめ

気・血・水はそれぞれ関係しあって体内をめぐっていることがおわかりいただけたでしょうか。また単独で存在することができず、不足したり、正常に動くことができないと不調につながることも見てきたとおりです。

適度な栄養と運動、そして季節に合わせた活動により予防・改善はほぼ可能です。

いずれも簡単に実行できるものですから、できる範囲で取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

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